現在の行動ターゲティングの問題

最近、行動ターゲティングのことばかり考えているので、現在の行動ターゲティングの問題をと考えてることを分析してみようと思います。海外含め、日本の会社が進めている行動ターゲティングは2種類あります。

  • 1つ目がクライアントサイトやサイトの行動分析を人間の手によってカテゴリ分析を行いターゲティングする方法。

 この方法は、人間の手によってカテゴリを分けるところに問題があって、そのかわりセールスは売りやすいという利点もあります。その代わり、ボリュームを人間の手によって決めているため、効果は決まってしまうというのと、細かいターゲティング設定ができないのが問題だと思います。

  • リターゲティング

 リターゲティングといっても、様々なリターゲティングがあります。クライアントサイトへ来たことがあるユーザーへリターゲティングする、リターゲティング。検索履歴リターゲティングなど様々な手法がありますが、リターゲティングは基本的に効果がいい。しかし、私の経験ですが、ターゲットされたユーザーが疲弊しやすいのと、ターゲットボリュームが比較的小さくなってしまうことが問題です。また、セレンデビリティがあるマーケティングではありません。

さて、ヤフーのインタレストマッチを考えると、1つ目の方法を取ってます。1500ほどのカテゴリにクライアントカテゴリを分けることが「人の手」です。

私が思うに、行動ターゲティングの問題は、行動分析できる切り口の少なさだと思っています。例えば、1つめのカテゴリの切り方。しかも、恣意的な要素が大量に含まれています。広告を打っていればわかるのですが、女性対象のサイトでも、ある広告が効果を発揮するのは、ごく一部の人だけだったりします。女性といっても、デモグラの中には大量の趣向性が含まれています。これをコントロールできない。リターゲティングの問題点は、そこしか、ターゲティングできないということです。ターゲットボリュームと、見込み顧客へアプローチができない。

ターゲティングにおいて誰と戦うのかという点も重要です。ターゲティングネットワークへお金が流れるときには、順番があると思います。広告業界は基本的に、純広告、リスティング、アフィリエイト、アドネットワークというだいたい4つに別れるのかなと思いますが、純広告から予算が一気にネットワークには流れない。

その問題点を考えるべきなんだと思います。
1.純広告を出す媒体を細かく管理しており、そこで効果が保てているから(諦めているから 笑)
2.アドネットワークの規模が小さいこと
3.アドネットワークの効果が薄いこと

このいずれかにより、アドネットワークへと流れるのを防いでいるのでしょうが、アドセンスインタレストマッチは売れてます。つまり、規模です。規模があまりに小さいからアドネットワークへ広告流れない。そのため、アドネットワークへ入ってくる広告ボリュームが小さく、アドネットワークは広告を埋めるために、ターゲティング設定を緩くして運営をしている(広告主は気付いていないと思います)、よって、3の状態になっているため、単価が上がらない。よって、アドネットワークは広がらない。

この分析は、一見矛盾をはらんでいるようにみえるのですが、非常に論理的かつ現実に即した結果を導きだしています。なぜ、こうなったか?
理由は明確です。アドネットワークのスタート地点が、アドネットワークだからです。では、成功しているアドセンスインタレストマッチはなぜ成功しているか?理由は検索広告がスタートでそこから集まった広告をアドネットワークへ流して行ったから、広告種類とボリューム多くあり、セグメントも多くきることができ、といういい循環が回ったからです。これと比較するとアドネットワークのスタート地点が、売上を求められ、広告枠の開拓と、同時にやる必要があるためどうしても、効果が保てないことです。
つまり、ポイントは、アドも広告枠も同時に集める必要あることに、一番の問題点があるのです。

では、先に、広告を集めるのか、先に広告枠を集めるのか?どちらもやり方によっては、実現が可能です。広告から立ち上げる方法は、アドネットワークをバーティカルに立ち上げることです。しかし、ここにも大きな壁があります。バーティカルに立ち上げるのは、いいのですが、普通に考えると、え、純広告でそのバーティカル枠を夫々買えばいいんじゃない?ということです。また、そういう枠は既に純広告である程度売れているはずです。よって、あまりうまくいかないはずです。また、規模もでない。普通は、単価が高い金融、コスメなどのバーティカルネットワークを立ち上げるのが常套手段ですが、正直いって、場所の占有以外に差別化要素が少ない。だから、大きなバーティカルネットワークというのは生まれない。
生まれるとすると、大規模な特定カテゴリのサイトが、自社の集めた広告を同種類のサイトを束ねて広告を流して行く、(ある意味Yahoo Japanモデルですが)という形しかないと思います。

では、広告枠から集めるのか? そうなると、広告が無くて広告枠を集められるのか?
ここにアドネットワークの生い立ちによる、その後の悪循環の問題があります。アドネットワークはこれができないからうまく立ち上がらない。
(ちなみに、マイクロアドが立ち上がったのは今のロジックだと、サイバーエージェントが広告セールス担当として、バックにいるからです。)
広告枠から集める方法は、アドサーバーを配る以外にありません。または、既存アドサーバー会社を買収する(GoogleがDoubleClickを買収、マイクロソフトもOpenXと提携)。
だから、アドランティスを配ることを思いついたわけです。アドサーバーから入ると、広告を持ってなくても、広告が切れたとか怒られることはないですからね。


さて、ここまで、なぜアドネットワークがうまく立ち上がらないのかという話をしてきたのですが、こうなると、次に問題になるのは、ターゲティングの方法です。行動ターゲティングの問題は、売上を作る為に、ターゲティングが緩くなっているという問題もあるのですが、ターゲティングが細かく絞れないということです。
次の議論は、

0.行動ターゲティングの抱える問題
1.コンテンツマッチのセグメンテーションの細かさとコンテンツマッチの抱える課題。
2.今更コンテンツマッチネットワークをやっても絶対に立ち上がらない
3.最近でてきてるレコメンデーションシステムとアフィリエイト会社の提携を細かく分析
  ー A社とアフィリエイト会社の細かい分析と問題点
  ー C社とアフィリエイト会社の細かい分析と問題点

この4点です。
0については、先ほども書いた通り、セグメンテーションとボリュームのバランスが取れない。セグメントを絞れば絞るほど、ボリュームがでず、広告主から苦情がでる。で、ターゲットを緩めると効果がでない。これは、見込み客を予想するしか、解決策はありません。また、セグメントを切る方法をもっと大量に作り、それぞれに見込み客を作る仕組みを作る。
この解決を行えている会社は無いのではないでしょうか?

1.については、コンテンツマッチは、キーワードごとに広告を配信してくので、非常に効果が良くなります。そのかわり、コンテンツマッチしたサイトへきたユーザーへしか広告を出すことができないので、限界がでてきた。広告主は、さらにその先に興味をもった顧客を探している。例えば、キャッシングならキャッシング関連のコンテンツを観てるユーザーへは訴求できますが、見込み客までは訴求ができません。だから、最近は、セレンデビリティが叫ばれ始めました。

2.コンテンツマッチネットワークがイマサラ立ち上がらないのは、アドネットワークが立ち上がらない問題と同じで、広告数が足りず、コンテンツマッチしてない所にも広告を出さざるをえず、効果が保てず、広告主が単価を上げれないからです。非常にシンプル。だから、コンテンツマッチネットワークはイマサラやらない方がいい。ロジックでなくて、競争環境とビジネスの順番の話の影響が大きい。

3.レコメンデーションとアド。これは面白い問題です。
  さて、レコメンデーションでもいくつか方法がありますが、協調フィルタリングと複雑ネットワーク。どちらにもPros/Consがありますが、協調フィルタリングの問題点は、cosθを計算して、ベクトルの空間距離を測る点です。しかもベクトルの基底がアイテムの数だけあるという、基底が無い、非常に数学的には美しくないアルゴリズムです。このモデルの問題は基底を持たないため、扱える基底ベクトルの数に限界があり、人と人の関係性などを規模が大きくなると計算できないという点です。複雑ネットワーク理論では、この問題が解決されているので、計算は簡単にできてしまいます。但し、直接繋がっていない人との距離を計算するのが面倒になります。その分、ベクトル空間で扱うと、内積を取れば簡単に計算ができます。利点もありますが、計算ボリュームを考えると、複雑ネットワーク理論の勝利かなと個人的には思っています。

さて、各社の分析ですが、Aさんの記事を分析すると、広告と広告のクリックログから、広告と広告をアイテムとして扱い、レコメンデーションされている。これだと、問題があって、一番配信される広告にデータが引っ張られてしまいます。(推奨したいアイテムを対象データとして解析しているため)。また、クリックだけだと、クリックはされるけどコンバージョンされない広告にデータがよってしまう。(グラビアとか)

ちなみに、これはアトランティスでも半年以上前に計算して結果を観たことがあるので、既に理解済みのことです。もっと広告は奥が深いです。これだけで結果がでるなら誰でもやってます。。。

次に、Cさんの人の行動ベースでの計算(複雑ネットワーク理論を使ってやってるのかなと予想していますが、グラフ理論だけれども、そんなに難しいことかね。。。と論文を読んでいる限り理解していますけれども。)ですが、理論はいいと思います。但し、グラフを作る際に問題もありますので、そこはおそらくもっと詳細にグラフ作りをすることになるのでしょう。問題は、アフィリエイトの行動ログということです。アフィリエイトの行動ログというのは、ぶっちゃけ相当歪んでいます。そこが問題ですね。まあ、でも人の分析なら問題ないかなと思いますが、やっぱりデータが汚いなと思います。

よって、軍配は、C陣営 > A陣営と勝手に付けさせて頂きますが、所詮アフィリエイトなので、あまり効果でないと思うけどなーと思います。ちなみに、これはアフィリエイトだからできるけど、これをクリックネットワークにするのは、非常に難しいです。何故かというと、予算があるからです。仕組みが一気に複雑になります。予算管理があると。
解決できない問題でないけど、面倒くさいですね。あと、Cさんのモデルも、Aさんのモデルも、スタートは、広告をノンターゲティングで流して行かないといけないですね。途中から最適化されていきますけど。クリックネットワークにするには、そこを解決する必要があります。何事もスタートダッシュが重要なので。どうやって、最適化されるまで、ターゲットを探すんでしょうね。そこがポイントだと思います。それでまわしてもいい、クリック数も限られているし、クリックで最適化してもね。。。。と思うし。

特にCさんの手法は、広告の場合は、最適化に時間がかかる。さんのものは、今あるデータからでも最適化がはかれるので、スタートダッシュは切れますね。ただ、効果はある程度で保たれるでしょうね。おそらく、Cさんは、広告と広告の関連性も出しているから、そこでスタートダッシュするんでしょうが。兎に角、クリックネットワークにどうやってするかがポイントかなと思います。

ちなみに、どっちが好き、嫌いとかでないです。データ分析マニアとして、単なる分析です。間違っていたら、ごめんなさい。


書きすぎて、疲れたorz